本日も世界の最新プライシングニュースをお届けしたいと思います!

今回は以下の3本を紹介したいと思います。

テネシー大学・激減したチケット販売枚数 


(アメリカ南部)コロナウイルス感染拡大の影響で、テネシー大学のアメフトチームは一般消費者向けに限られた数のチケットしか販売できないことになりました。本拠地のネイランドスタジアムは通常であれば10万人収容が可能だが、今シーズンはせいぜい2万4千人ほどになる見込みだといいます。その影響から、強豪チームであるアラバマ大学やフロリダ大学との試合のチケットは、既に数百枚程しか在庫が無いといいます。 

シーズン開幕までにテネシー大学は、56000枚ものシーズンチケットが販売していました。しかし、今回コロナによる影響でうち29000枚がキャンセルあるいは来季へ持ち越されました。コロナは大学スポーツ産業にも暗い影を落としています。

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なぜアメリカの大学教育の費用は直近10年で25%も上昇したのか?


*金額は全て現在の為替レートを元に計算しております。 

1978年度の大学教育の費用(授業料と寮費の合計)は私立大学で190万円、公立大学では90万円でした。2008年度になると私立大学では410万円、公立大学では170万円に上昇しました。今日その費用は、私立大学で510万円、公立大学で230万円にもなっています。直近10年で市立大学は25%、公立大学では30%も上昇したことになります。 

これほど高額な教育費でも大学進学をするのは、学位をとることが大きな投資になると認識されているからです。実際、アメリカでは大卒の収入は高卒の収入より80%も高いのです。そもそも、なぜこれほどまで費用が上昇したのでしょうか? 

まず、1つ目の要因が助成金の減額です。政府からの助成金の頼る公立大学がその影響で、授業料を引き上げたのは致し方ないと言えるでしょう。実際、公立4年制大学のルイジアナ大学は、直近10年でなんと授業料が2倍にもなりました。また、アラバマ大学やアリゾナ大学では60%も上昇しました。 

生活費が2つ目の要因と言えるでしょう。インフレーションの影響で特に、大学寮やキャンパス周辺の家賃が上昇しています。更に、こうした家賃や保険料上昇により、大学スタッフの給料が上昇しているために、間接的に学費が上がるという背景があるのです。 

3つ目の要因として、その他の費用があります。建設工事費用や大学運営費などがその最たる例です。こうした3つの要因が組み合わさって、大学授業料が高騰しているのです。 

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 今日の価格戦略から未来の価格戦略へ  


現在、各大学は数多の難題に悩まされていることでしょう。もちろんコロナによるオンライン化などの課題もあることでしょう。ただそれ以上に心配なのが、アフターコロナの事態が落ち着いた際におこるであろう危機です。それがデモグラフィック危機と呼ばれるものです。これは、厳しくなりつつある授業料等収入面と高騰し続ける支出面を今後どう巧みにやりくりしていくのかということです。言い換えれば、大学機関は現在、需要ショックと供給ショックに直面しているのです。 

供給サイド 

多くの大学キャンパスに学生が戻ってこられない以上、寮費の落ち込みは避けられません。加えて、その他の副次的な収入(キャンパスストアやダイニングホール・寄付金など)も大きく落ち込みました。さらに、オンライン授業に移行した影響で授業料のディスカウントを行われました。オンライン授業や休学を選んだ学生の存在により、授業料収入も落ち込みました。こうした複合的な収入減が供給サイドの問題として浮上しているのです。さらに今後大学授業料を払えないような家庭が増加するという人口動態変化を鑑みると、ビジネスモデルの転換を迫られているのは明白です。 

需要サイド 

想定よりもずっと早く到来したのが需要ショックです。コロナ感染拡大により失業率は悪化し、パンデミック前の水準に戻るのは10年以上かかるという推計さえ出ています。この変化が何を暗示しているかは明確です。各大学は入学者数の目標値を達成するために、授業料の値下げを行わざるを得なくなるというシナリオです。実際的なやり方は、授業料を引き上げて貧しい過程には多めの奨学金を支給するなど様々あります。だが下手に価格戦略が行われると、大学が破産しかねないといいます。 

より持続可能性のある生き残り戦略とは? 

短期的な生き残りのために、価格破壊を起こすような大学が出てきてもおかしく無いでしょう。しかしながらより長期目線で価格戦略を組むとなると、以下のような疑問を投げかける必要があるでしょう。 

  • 何%の価格低下なら許されるでしょうか?5%ずつ毎年授業料を下げることは現実的でしょうか? 
  • どれほど現在の価格戦略をあなたは理解できているのでしょうか?どのような要素が、生徒やその両親を高額な教育費を払ってもよいと思わせているのでしょうか? 

その上、需要が低下しつつある市場でどう戦い、高騰する費用をどう賄うかという視点を持ち続けるのが大切です。目先の運転資金だけに囚われず、如何に新たなビジネスモデルをデザインするかが鍵となります。 

本日は以上の3本の記事を紹介させて頂きました。今後はこちらで毎週プライシングに関する記事を発信していきますので、ぜひご覧ください!

(ダイナミックプラス 菊川)

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